#2 13番線ホーム
「ゴォー」と激しい音を立てて走り去る、はやぶさ。冷たい風がブ
〈いってらっしゃい。気をつけてね〉
私は中学3年の時、音楽の道を志し、隔週で上京してレッスンに通
〈大丈夫かな。気をつけていってらっしゃい〉
やりたいことに猪突猛進だった私にはまだ聞こえていなかったが、
そのおかげで東京芸術大の付属高に合格した。東京での生活が始ま
〈さあ行ってこい! 次はいつ帰るんだ。いつでも待ってるぞ〉
その後、もがき苦しんだ浪人生活と、海外に視野を向けたグローバ
〈今回の帰省はあっという間だったね。休めたかい。自分のペース
そしてスイスに留学する。今度は新幹線でサクッと帰ることができ
〈どんどん遠くに行ってしまうね。次はいつ会えるのかな。無理せ
13番線との会話も板に付いてきた。そしてまたスイスへと向かう
留学を終えて、これから働く拠点を決めるのに迷いはなかった。ま
お金のためだけに働き生きていくのではなく、家庭を幸せに運営し
今、13番線に立つと走馬灯のようによみがえってくる。
〈今までよく頑張ってきたね。これからも応援してるよ〉
この20年で郡山駅前の風景は大きく変わったが、私の背中を押し
芳賀大峰
